🔹 腱板炎の徒手検査法(整形外科的テスト)
以下に腱板(特に棘上筋)炎に対して有効なテストを紹介します:
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① ペインフルアーク徴候(Painful Arc Sign)
• 方法:患者に腕を自分で外転(横に上げる)させる
• 陽性所見:60°〜120°付近で肩に鋭い痛み
• 意味:肩峰下での腱板インピンジメント(棘上筋炎が多い)
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② ドロップアームテスト(Drop Arm Test)
• 方法:90°まで外転させ、そこからゆっくり腕を下ろさせる
• 陽性所見:途中で痛みで支えられず腕がストンと落ちる
• 意味:棘上筋腱の損傷や炎症を示唆(断裂の可能性も)
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③ エンプティカンテスト(Empty Can Test/Jobe Test)
• 方法:肩を90°外転し、30°前方に傾け、**親指を下(内旋)**にして抵抗をかける
• 陽性所見:痛みや筋力低下
• 意味:棘上筋腱炎や断裂
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④ ホーキンステスト(Hawkins-Kennedy Test)
• 方法:肩を90°屈曲し、肘も90°屈曲させて内旋させる
• 陽性所見:肩前面の痛み
• 意味:肩峰下でのインピンジメント(棘上筋や滑液包)
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⑤ ニアー徴候(Neer Test)
• 方法:患者の手を回内させ、セラピストが肩を前方挙上させる
• 陽性所見:肩の前・外側の痛み
• 意味:腱板(特に棘上筋)や滑液包のインピンジメント徴候
20代の男性スポーツマンでも頚椎症性神経根症は起こり得ます。ただし、高齢者に多い「加齢変性」が原因のものとは少し背景が異なります。
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🔍 20代スポーツマンにおける発症メカニズム
✅ 1. 椎間板の損傷(ヘルニア型)
• 若年者の場合、椎間板ヘルニアが原因で神経根を圧迫し、
結果的に「頚椎症性神経根症」と類似の症状を起こすケースがあります。
• 特にラグビー・柔道・サッカー・野球の外野手・格闘技系など、
首の圧迫や衝撃が多いスポーツでは起こりやすいです。
✅ 2. 反復する過伸展・過屈曲による機械的ストレス
• 繰り返される首の伸展・回旋動作(例えばスローイン、タックル時の頭の動きなど)が
頚椎の関節や椎間板に負荷をかけ、変性・炎症・神経圧迫につながります。
✅ 3. 筋バランスの崩れによる局所の負荷集中
• スポーツマンは一部の筋が発達しすぎたり、他の部位とのバランスが崩れることがあります。
• 特に肩甲帯や斜角筋・胸鎖乳突筋の過緊張により、頚椎のアライメントが乱れやすくなり、神経根に負担がかかります
サッカー中の接触により膝を負傷し、
• 腫れがある
• 歩行時に痛みがある
• 骨に異常はない(=X線検査で骨折は否定された)
という状況から考えられる主な疾患・損傷は以下のとおりです。
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🔍 考えられる疾患・損傷
1. 靭帯損傷(特に前十字靭帯・内側側副靭帯)
• 膝の腫れや不安定感、動作時の痛みが特徴
• 強い外力やひねり動作で損傷しやすい
• 前十字靭帯損傷の場合、関節内出血により急激に腫れることも
2. 半月板損傷
• 回旋や圧迫で損傷
• 引っかかり感や屈伸での痛み、可動域制限が出る
• 腫れも伴う場合がある
3. 関節内血腫(外傷性)
• 衝突により関節内で出血が起こる
• 明らかな骨折がなくても、靭帯や関節包の損傷で血腫がたまる
• 腫れ・熱感・痛みが強い
4. 膝蓋骨脱臼 or サブラックス(軽度の脱臼)
• 膝のお皿が外れる or 一時的にズレる
• 明確な脱臼がなくても軟部組織の損傷が起こり腫れることがある
5. 膝関節の打撲 / 軟部組織損傷
• 骨に異常がない場合でも、筋肉・靭帯・滑膜などの損傷で腫れと痛みが出る
• 比較的軽度なことも多いが、症状が強ければ注意が必要
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🧪 必要な追加評価・検査
• MRI:靭帯損傷や半月板損傷を評価するために有効(X線ではわからない)
• 超音波:関節液や血腫の評価に有用
• 徒手検査:医師による前十字靭帯・半月板などの機能的評価
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🩺 アドバイス
現在の症状(腫れ+歩行痛)からは、靭帯や半月板など軟部組織の損傷が疑わしいため、以下をおすすめします:
• 整形外科でのMRI検査の相談
• 腫れが強い間は安静・アイシング・膝の挙上(RICE処置)
• 悪化を防ぐために、無理な歩行・運動は避ける
踵部脂肪体炎(しょうぶしぼうたいえん、英: Inflammation of the heel fat pad)は、踵(かかと)の脂肪組織(脂肪体)に炎症が起こることで痛みなどの症状が出る状態です。主に以下のような症状があります。
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🔍 主な症状
1. かかとの痛み(圧痛)
• 踵の真下またはやや外側に痛みを感じる。
• 特に「硬い床」や「長時間の立位・歩行」で痛みが悪化する。
2. 起床時や長時間座った後の歩き始めに痛む
• かかとの脂肪体が圧縮・変形しているため、最初の一歩が特に痛む。
3. 歩行中の衝撃で痛みが増す
• 脂肪体は本来クッションの役割を果たすが、炎症により保護機能が低下するため、地面からの衝撃が直接骨や他の組織に伝わりやすくなる。
4. 腫れや熱感は少ないが、慢性的に不快
• 急性の腫れよりも「慢性的な不快感・だるさ」が主な訴え。
5. 運動後に悪化することがある
• ジョギングやジャンプ、長距離歩行などで症状が強くなる。
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✅ 鑑別が必要な疾患(似た症状がある)
踵部脂肪体炎は以下の疾患と間違われやすいため、正確な診断が必要です。
• 足底腱膜炎(もっとも多い)
• 踵骨骨端炎(シーバー病)(成長期の子どもに多い)
• 踵骨疲労骨折
• アキレス腱周囲炎
• 滑液包炎
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🩺 対処・治療法(簡単に)
• 安静、負荷の軽減(特に硬い床の上での立ち仕事など)
• ヒールパッドやゲルクッションの使用
• 物理療法(アイシングや温熱療法)
• ストレッチ・足底筋の強化
• 炎症が強い場合はNSAIDs(消炎鎮痛薬)
ドローイン(腹横筋の収縮による腹部の引き込み運動)は、腰椎(腰の背骨)に対して次のような動きをもたらします:
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✅ ドローインによる腰椎の動き
• 腰椎の安定化(スタビリゼーション)
• 腹横筋(インナーマッスル)が収縮すると、腹腔内圧(IAP: Intra-abdominal pressure)が高まり、腰椎の前弯(=腰の反り)を抑制しながら、背骨全体の安定性を高めます。
• つまり、腰椎を中間位(ニュートラル)に保ちやすくする動きです。
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🧠 解剖学的ポイント
• ドローイン時に主に働く筋:
• 腹横筋(Transversus abdominis)
• 多裂筋(Multifidus)
• 骨盤底筋群
• 横隔膜
• これらは「インナーユニット」と呼ばれ、腹腔を囲んで天然のコルセットのような役割を果たします。
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❗注意点
• ドローイン自体は大きな「動き」ではなく、安定化を目的とした静的収縮です。
• 腰椎が大きく屈曲(前に曲がる)したり、伸展(後ろに反る)するわけではありません。
• むしろ、「過度な動きを防ぐ」方向に働くと考えられます。
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まとめ
ドローインは腰椎を直接動かすというよりも、
腰椎をニュートラルな位置に保ち、安定化させる静的なコアコントロール動作です。