膝蓋靭帯炎(しつがいじんたいえん、ジャンパー膝とも呼ばれる)は、主にスポーツで膝を酷使する人に多い障害です。症状を整理すると以下のようになります。
主な症状
• 膝のお皿(膝蓋骨)の下あたりの痛み
特に膝蓋靭帯の付着部(脛骨粗面付近)に痛みが出やすい。
• 運動時の痛み
ジャンプ、着地、ダッシュ、階段昇降、スクワットなどで強くなる。
• 押した時の圧痛
膝蓋骨の下や靭帯に沿って押すと痛い。
• 動かし始めの痛み
ウォーミングアップ前や練習後に痛みが強いことがある。
• 慢性的な痛み
放置すると安静時や歩行時にも痛むことがある。
進行度の目安(ステージ分類)
1. 運動後のみ痛む
2. 運動中も痛むが、パフォーマンスは落ちない
3. 運動中の痛みでパフォーマンス低下
4. 安静時にも痛む、靭帯に断裂を伴うこともある
👉 多くはスポーツ(バレーボール、バスケットボール、サッカーなど)での繰り返しジャンプやストップ動作が原因になります。
足首の捻挫(足関節捻挫)は、足首の関節を支えている**靭帯(じんたい)**が過度に伸ばされたり、部分的または完全に断裂することで起こります。日常生活やスポーツ活動中に、足をひねったり、くじいたりすることでよく発生します。
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✅ 主な症状:
• 足首の腫れ(特に外側)
• 痛み(動かすと悪化する)
• **内出血(皮下出血)**やあざ
• 歩行時の痛み・不安定感
• 重度の場合は関節のぐらつき
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🤕 よくある捻挫の種類:
1. 外側靱帯損傷(最も多い)
• 足首を内側にひねったときに多発
• 前距腓靭帯・踵腓靭帯などが損傷
2. 内側靱帯損傷(稀)
• 足を外側にひねることで起こる
• 三角靱帯が関与
3. 高位(こうい)捻挫(遠位脛腓靱帯損傷)
• 通常の捻挫より回復が遅い
• 足首を強くひねった際に、スネの骨同士をつなぐ靱帯が損傷
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🩹 応急処置(RICE処置):
1. Rest(安静):無理に歩かず、体重をかけない
2. Ice(冷却):15〜20分冷やす(1〜2時間おきに)
3. Compression(圧迫):弾性包帯などで軽く圧迫
4. Elevation(挙上):心臓より高くして腫れを抑える
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🏥 病院に行くべきサイン:
• 足がつけないほどの激痛
• 明らかな変形や骨が出っ張っている感じ
• 内出血がひどい・腫れが引かない
• 数日たっても痛み・不安定感が続く
足底筋膜炎(そくていきんまくえん)は、かかとの骨(踵骨)から足の指の付け根にかけて広がる 足底筋膜 に炎症や微細な損傷が起こる疾患です。
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特徴
• 主に かかとの痛み が出るのが特徴
• 特に 朝の起床時の一歩目 や、長時間の座位後に立ち上がる時に痛みが強い
• 歩いていると徐々に和らぐこともあるが、長時間歩行・立位で悪化しやすい
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主な原因
• 使いすぎ:ランニング・ジャンプ動作などの繰り返し
• 足のアライメント異常:扁平足・ハイアーチ
• 靴の不適合:クッション性のない靴、硬い床での作業
• ふくらはぎの筋緊張:下腿三頭筋やアキレス腱が硬いと足底に負担がかかる
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症状
• 踵の内側〜中央に刺すような痛み
• 朝起きてすぐの歩行が最もつらい
• 重症化すると常に痛むことも
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対応・治療
保存療法が基本
• 安静:走る・ジャンプなど痛みを悪化させる動作を控える
• ストレッチ
• ふくらはぎ(アキレス腱)のストレッチ
• 足底筋膜を伸ばすストレッチ(足の指を手で反らす など)
• アイシング:運動後や痛みが強いときにかかとを冷やす
• インソール・テーピング:アーチをサポートして負担を軽減
• 体重管理:肥満はリスク要因
医療的対応
• 痛み止め(NSAIDs)
• 注射(ステロイド局所注射)
• 物理療法(超音波・衝撃波治療など)
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予後
• 多くは 数か月〜1年で自然に軽快
• ただし慢性化すると治療が長引く場合もあるため、早期の対応が大切
女子高校生テニス部で「股関節が抜ける感覚」がある場合、いくつか考えられることがあります。テニスは切り返し・踏み込み・股関節のひねりが多いスポーツなので、股関節周囲に不安定性や損傷が起こりやすいです。
考えられる主なもの
1. 股関節不安定症(hip instability)
• 生まれつき関節が緩い(関節弛緩性)
• 靭帯や関節包が緩んで「抜けそう」な感覚が出やすい
• 女子は関節弛緩性が強い人が多い
2. 寛骨臼形成不全(臼蓋形成不全)
• 股関節の受け皿(寛骨臼)が浅いと、大腿骨頭がしっかりハマらず「抜ける」ような不安定感を感じる
3. 股関節唇損傷(acetabular labrum tear)
• 捻りやストップ動作で損傷しやすい
• 「引っかかる・抜けそう・カクッとする」感覚を伴うことが多い
• 痛みやクリック音が出る場合もある
4. 大腿骨頭すべり症(思春期にまれに起こる)
• 成長期の股関節で骨頭がずれてしまう病気
• 股関節痛・膝の痛み・抜けそうな感覚が出る
5. 筋肉や腱の問題
• 腸腰筋や大腿直筋などの筋力不足やアンバランスで支えが弱い
• スナッピングヒップ(股関節を動かすとポキッ・カクッと音がして抜けるように感じる)
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まとめ
• 成長期の女子選手は、股関節の構造的な不安定性(臼蓋形成不全や弛緩性)や股関節唇損傷を疑うことが多いです。
• 放置すると軟骨損傷や将来の股関節症につながることもあります。
👉 もし「痛みを伴う」「頻繁に抜けそうになる」「動作に支障がある」場合は、整形外科(スポーツ整形)での画像検査(X線やMRI)が推奨されます。
腰椎分離症とは?
腰の骨(腰椎)の後方部分にある椎弓(ついきゅう)という部分に疲労骨折が起こり、その骨折が治りきらずに「分離」したままの状態になる病気です。
主に成長期の子どもから若いスポーツ選手に多く見られます。
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発生の仕組み
• 腰を反る動作やひねる動作を繰り返すことで、椎弓に負担がかかる
• 特に野球、サッカー、バレーボール、体操などの競技で多い
• 疲労骨折が起こり、骨がつながらず「分離」してしまう
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主な症状
• 腰痛(特に運動時や腰を反らした時)
• 安静にしていると痛みは軽くなることが多い
• 進行すると「腰椎すべり症」につながり、下肢のしびれや痛みが出る場合もある
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診断
• **X線(レントゲン)**で分離部位を確認
• はっきりしない場合はCTやMRIを用いる
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治療
成長期・初期の場合
• 安静(運動休止)
• コルセットなどで固定
• 痛みが落ち着けばストレッチや体幹筋トレーニング
成人や治りきらなかった場合
• 多くは保存療法(リハビリや腰の安定性を高める運動)で対応
• すべり症が強く、神経症状が出る場合は手術を検討
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ポイントまとめ
• 成長期スポーツ選手に多い「腰の疲労骨折」
• 運動時の腰痛が特徴
• 早期発見・安静で治りやすい
• 放置すると腰椎すべり症に進行することがある